日本三景とは、松島(宮城県)・天橋立(京都府)・宮島(広島県)の3つの景勝地のことです。
日本を代表する絶景として約400年も愛され続けており、知名度は「日本三大○○」の中でもトップクラスです。
でも「なぜこの3つなのか」「いつ誰が決めたのか」は意外と知られていません。
この記事では、日本三景の由来から各スポットの見どころ、覚え方、そして「新日本三景」まで徹底解説します。
日本三景とは?読み方と場所一覧
まずは3か所の基本情報を確認しておきましょう。
| 名称 | 読み方 | 場所 | 県 |
|---|---|---|---|
| 松島 | まつしま | 松島湾(太平洋側) | 宮城県 |
| 天橋立 | あまのはしだて | 宮津湾(日本海側) | 京都府 |
| 宮島 | みやじま | 瀬戸内海 | 広島県 |
3か所はいずれも、1952年(昭和27年)11月22日に国の特別名勝に指定されています。
特別名勝は、国が指定する名勝のうち、特に価値が高いとされたものです。
3か所がそれぞれ太平洋・日本海・瀬戸内海と異なる海に面しているのも興味深い点です。
偶然なのか、選んだ人物のセンスなのか…手がかりは、3か所に共通する「海」と「松」です。次の章で解説します。
日本三景はいつ・誰が決めた?由来と歴史
日本三景を選んだのは、江戸時代初期の儒学者・林春斎(はやし しゅんさい)です。
1643年に執筆した著書『日本国事跡考(にほんこくじせきこう)』の中で、松島・天橋立・宮島を「三處奇觀(さんしょきかん)」と記したことが始まりとされています。
なぜこの3つが選ばれたのか
3か所に共通するのは、「海」と「松」と「島(砂州)」の組み合わせです。
林春斎が生きた江戸時代、海に松が映える風景は日本人の美意識の象徴でした。
中国の山水画の影響を受けた当時の知識人にとって、海と松の取り合わせはまさに理想の絶景だったのです。
つまり日本三景は「日本一美しい場所ベスト3」ではなく、江戸時代の美意識で選ばれた「海と松の絶景3選」というのが正確なところです。
松尾芭蕉も松島を訪れており、あまりの絶景に言葉を失ったという逸話が残っています(「松島やああ松島や松島や」の句は後世の創作とされています)。
日本三景の日は7月21日
7月21日は「日本三景の日」に制定されています。
これは林春斎の誕生日に由来しています。
定めたのは、宮城県松島町・京都府宮津市・広島県廿日市市と、それぞれの観光協会でつくる日本三景観光連絡協議会です。
松島観光協会のお知らせによると、協議会は約100件の応募をもとに2006年に制定されました。
日本三景観光連絡協議会の公式サイトでは、林春斎の誕生日は1618年7月21日としています。
ちなみに林春斎は、江戸幕府に仕えた儒学者・林羅山の三男です。
林鵞峰(はやし がほう)という名前でも知られています。
辞典などで「林鵞峰」の名前で載っていても、日本三景を選んだ林春斎と同じ人物です。
7月21日は、ちょうど夏休みが始まるころ。
青い海と松の緑が映える季節なので、三景めぐりの計画を立てるきっかけにもぴったりですね!
日本三景の覚え方
中学受験や旅行の話題でサッと出てくると格好いい日本三景。
覚え方をご紹介します。
覚えることは、「3つの名前」と「それぞれの県」の2つです。
1つの方法だけだと忘れやすいので、いくつかの角度から覚えておくと安心です。
①名前は頭文字の「あまい」で覚える
3か所の名前だけなら、頭文字をつなげた「あまい(甘い)」がよく知られた覚え方です。
・あまのはしだて(天橋立)
・まつしま(松島)
・いつくしま(厳島=宮島)
最後の「い」は、宮島の正式な名前「厳島(いつくしま)」の頭文字です。
宮島のほうで「み」を取って「あまみ(甘み)」と覚える方法もあります。
「い」が思い出せないときは、「宮島の本当の名前は厳島」と、下の宮島の節の内容とつなげて思い出してみてください。
②県名は「宮」のひっかけに注意して覚える
名前を覚えたら、次は県名です。
ここで間違えやすいのが、宮島は宮城県ではなく広島県という点です。
「宮」の字が同じなので、つい「宮城の宮島」とつなげてしまいがちです。
・宮城県にあるのは → 松島
・京都府にあるのは → 天橋立
・広島県にあるのは → 宮島
「宮城の松島・京都の天橋立・広島の宮島」と県名とセットで口に出して覚えると、試験でも混乱しません。
③地図の上で東から西へ並べて覚える
3か所を地図に置いてみると、東から松島→天橋立→宮島の順に並んでいます。
「松島だけ東日本、あとの2つは西日本」と位置関係をセットで覚えるのもおすすめです。
さらに、面している海も東から太平洋→日本海→瀬戸内海と、3か所とも違います。
地図を思い浮かべて「東北の太平洋側、近畿の日本海側、中国地方の瀬戸内海」と順番にたどると、場所と県がつながって覚えやすくなります。
④景色のイメージとセットで覚える
名前と県だけを丸暗記するより、景色の特徴と結びつけると忘れにくくなります。
| 東から順に | 名前 | 県・海 | 思い浮かべる景色 |
|---|---|---|---|
| 1 | 松島 | 宮城県・太平洋 | 湾に浮かぶ260余りの島々 |
| 2 | 天橋立 | 京都府・日本海 | 海に伸びる松並木の砂州と「股のぞき」 |
| 3 | 宮島 | 広島県・瀬戸内海 | 海の中に立つ嚴島神社の大鳥居 |
「島がたくさん=松島」「細長い橋のような陸地=天橋立」「海の大鳥居=宮島」と、1枚の写真のように覚えておくのがコツです。
それぞれの見どころは、このあとの節で詳しく紹介しています。
ほかの「日本三大○○」の覚え方も気になる方は、こちらもどうぞ。
↓ ↓ ↓

松島(宮城県)
松島の特徴と見どころ
松島は宮城県の沿岸部に広がる景勝地で、松島湾に260余りの島々が点在する光景が有名です。
松の木が生い茂る大小の島々と穏やかな海面の組み合わせが、他にはない独特の美しさを生み出しています。
- 松島島巡り観光船:約50分かけて松島湾をめぐるクルーズ。湾内の絶景を海から楽しめる
- 瑞巌寺(ずいがんじ):伊達政宗ゆかりの国宝寺院
- 円通院(えんつういん):紅葉の名所。秋のライトアップは必見
- 五大堂(ごだいどう):松島湾に突き出た小島に建つ朱色の堂。松島のシンボル
- 四大観(しだいかん):松島を一望できる4つの展望スポット。「壮観・麗観・幽観・偉観」
松島のアクセス
東京駅から東北新幹線で仙台駅へ(約1時間30分)、仙石線に乗り換えて松島海岸駅まで(約40分)。
駅から観光エリアまで徒歩圏内なのが松島の魅力で、3か所の中では最もアクセスしやすいと言われます。
松島の名物グルメ
かき(牡蠣)が松島を代表するグルメです。
焼きがき・かきフライ・かき丼など様々な形で楽しめ、冬には食べ放題の「かき小屋」も登場します。笹かまぼこ・ずんだ餅も宮城の定番です。
天橋立(京都府)
天橋立の特徴と見どころ
天橋立は京都府北部の宮津湾に位置する、全長約3.6km・幅20〜170mの砂州です。
約5,400本の松が生い茂る砂州が海の上に伸びる姿が「天に架かる橋」のように見えることから、この名がついたとされています。
天橋立の最大の楽しみ方は「股のぞき」です。
展望所から股の間をのぞくように逆さに天橋立を眺めると、海と空が逆転して砂州が天に昇る龍のように見えます。
| 視点場 | 場所 | 見え方 |
|---|---|---|
| 傘松公園 | 北側(府中側) | 昇龍観(龍が天に昇る姿) |
| 天橋立ビューランド | 南側(宮津側) | 飛龍観(龍が空を飛ぶ姿) |
| 雪舟観展望休憩所 | 東側 | 雪舟の水墨画と同じ構図 |
| 大内峠一字観公園 | 西側 | 横一文字に見える一字観 |
砂州の中は歩いて渡る(片道約50分)か、レンタサイクル(約20分)で走り抜けるのも爽快です。
天橋立のアクセス
京都駅から特急「はしだて」で天橋立駅まで約2時間。
大阪駅からも約2時間30分。
「京都府にあるのに京都市内から2時間かかる」という点は、旅行計画時の注意ポイントです。
天橋立の名物グルメ
智恵の餅(ちえのもち)が天橋立名物の定番です。
文殊堂の門前に並ぶ4軒の茶屋が江戸時代から作り続けるあんころ餅で、「食べると智恵を授かる」と言われています。
日本海側ならではの海の幸、冬の松葉ガニも絶品です。
宮島(広島県)
宮島の特徴と見どころ
宮島は広島県廿日市市(はつかいちし)にある瀬戸内海の島で、正式名称は「厳島(いつくしま)」といいます。
「宮島」は通称で、島全体が神の島として古くから信仰されてきました。
最大の見どころは嚴島神社(いつくしまじんじゃ)です。
海上に建つ朱塗りの大鳥居は日本を代表する絶景のひとつで、1996年にユネスコ世界文化遺産に登録されています。
日本三景で唯一の世界遺産を持つのが宮島です。
なお天橋立については、京都府と宮津市・伊根町・与謝野町が、世界遺産の暫定一覧表への記載をめざして調査研究を続けています。
2026年10月時点で、松島と天橋立は世界遺産に登録されていません。
- 嚴島神社:満潮時は海に浮かぶ社殿、干潮時は大鳥居まで歩ける。1日で2つの顔が楽しめる
- 弥山(みせん):島の最高峰(535m)。ロープウェイで登れば瀬戸内海の多島美を一望
- 五重塔:室町時代建立。嚴島神社とのコラボ写真が人気
- 鹿:島内には野生の鹿が歩いており、観光客のアイドル的存在
宮島のアクセス
広島駅からJR山陽本線で宮島口駅へ(約27分)、宮島口桟橋からフェリーで約10分。
フェリーからの大鳥居の眺めも旅の楽しみのひとつです。
宮島の名物グルメ
もみじまんじゅうとあなご飯が宮島の二大名物です。
揚げもみじ(揚げたてのもみじまんじゅう)は食べ歩きの定番。
牡蠣も広島名物として外せません。
日本三景のベストシーズン比較
| 場所 | ベストシーズン | 理由 |
|---|---|---|
| 松島 | 冬(12〜2月)・秋 | 牡蠣のシーズン+紅葉ライトアップ |
| 天橋立 | 春・夏 | 新緑の松並木+海水浴・サイクリング |
| 宮島 | 秋(11月) | 紅葉谷公園の紅葉+牡蠣の解禁 |
いずれも四季それぞれの良さがありますが、混雑を避けるなら平日の午前中が共通のおすすめです。
日本三景めぐりは何日必要?
3か所は東北・近畿・中国地方と離れているため、1度の旅行ですべて回るのは現実的ではありません。
・松島:仙台観光と合わせて1泊2日
・天橋立:京都市内観光と組み合わせて1泊2日
・宮島:広島市内・原爆ドームと合わせて1泊2日
それぞれ別の旅行として計画し、「3回の旅で三景制覇」を目標にするのがおすすめです。
「新日本三景」もある!選ばれた3か所はどこ?
実は日本三景には「新日本三景」という続編があります。
1915年(大正4年)に実業之日本社の婦人雑誌が読者投票で選んだもので、以下の3か所です。
| 名称 | 読み方 | 場所 |
|---|---|---|
| 大沼 | おおぬま | 北海道七飯町 |
| 三保の松原 | みほのまつばら | 静岡県静岡市 |
| 耶馬渓 | やばけい | 大分県中津市 |
三保の松原は富士山を望む松原として世界文化遺産「富士山」の構成資産にも登録されています。
本家の三景とあわせて「六景制覇」を目指すのも面白いかもしれません。
日本三景に関するよくある質問
Q. 日本三景はどこ?
宮城県の松島、京都府の天橋立、広島県の宮島の3か所です。
Q. 日本三景は誰が決めた?
江戸時代の儒学者・林春斎が1643年の著書『日本国事跡考』で記したのが始まりです。
Q. 日本三景で世界遺産はどこ?
宮島の嚴島神社が1996年にユネスコ世界文化遺産に登録されています。
三景の中では唯一です。
Q. 日本三景と日本三大夜景の違いは?
日本三景は江戸時代に選ばれた昼の景勝地(松島・天橋立・宮島)、日本三大夜景は函館山・摩耶山・稲佐山の夜景スポットで、まったく別のものです。
Q. 三保の松原は日本三景?
三保松原(三保の松原・静岡県静岡市)は、日本三景には入っていません。
上の新日本三景の節で紹介した「新日本三景」の1つです。
あわせて、福井県敦賀市の気比の松原、佐賀県唐津市の虹の松原とならぶ「日本三大松原」の1つにも数えられています。
「新三景」と「三大松原」の両方に名前が出てくるので、日本三景と取り違えやすいのかもしれませんね。
まとめ
日本三景について改めて整理します。
・日本三景は松島(宮城)・天橋立(京都)・宮島(広島)の3か所
・1643年に儒学者・林春斎が「三處奇觀」と記したのが始まり。「海と松」の美意識で選ばれた
・7月21日は「日本三景の日」(林春斎の誕生日)
・宮島の嚴島神社は三景で唯一の世界遺産
・大正時代に選ばれた「新日本三景」(大沼・三保の松原・耶馬渓)もある
・3か所は離れているので「3回の旅で三景制覇」がおすすめ
400年近く日本人を魅了し続ける三大絶景。ぜひ一度、自分の目で確かめてみてください。

