将棋を見ていると、多くの専門用語が出てきます。
分からなくても楽しめるんですが、分かっていればさらに楽しめます。
初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
あ行
相掛かり(あいがかり)
戦法のひとつ。飛車の前の歩をお互いに2つずつ進めることで成立する戦法です。
歩を動かしたあとは、角の隣に金を置いて、角を守る体制を組みます。ここまでが定跡として知られています。
居飛車(いびしゃ)
飛車を動かさずに戦う戦法です。基本的に自陣右下に置いたままチャンスを作ります。
前に進めば攻撃に効きます。左に動けば王将を守るのに役立ちます。
入王(いりおう)
入玉のこと。
叡王・叡王戦
8大タイトルのひとつ。
8つのタイトルの中では最も新しく設定されたタイトル戦です。
前身はAIと棋士が戦う電王戦でした。
その後、2015年に一般棋戦として第1期が開催され、第3期(2017年)からタイトル戦となっています。
2022年に藤井聡太さんが防衛するまで、連覇した棋士がいないタイトルでした。
王位・王位戦
8大タイトルのひとつ。
木村一基さんが46歳3か月で初めて取ったタイトルとして有名になりました。
46歳3か月でのタイトル取得は最年長記録となっています。
通算10回、もしくは5連覇することで「永世王位」の称号をもらえます。
王座・王座戦
8大タイトルのひとつ。
1953年に創設されて、1983年にタイトル戦に格上げされました。
通算10回、または5連覇することで「名誉王座」の称号がもらえます。
8大タイトルの中で唯一「永世○○」でない称号がもらえるタイトルです。
王将・王将戦
8大タイトルのひとつ。
1950年に創設され、翌年1951年にタイトル戦に格上げされました。
10回のタイトル奪取、防衛で「永世王将」の称号がもらえます。
8大タイトルの中で唯一5連覇で永世称号をもらえないタイトルです。
か行
角換わり
序盤の戦略のひとつ。お互いの角を取り合って、手駒に加え、あとで攻守に使っていきます。
スキあらば攻め込む!という姿勢を見せる戦術だけに、激しくなりがちです。
プロ棋士の戦い、タイトル戦でもよく見られます。
雁木(がんぎ)・雁木囲い
王将の囲み方のひとつ。
王将を左にひとつずらし、王将の右前と左前に金を配置。右前の金の上に銀、王将の2つ前に銀を配置します。
前からの攻撃に強い守備陣系である一方、右斜め前や右横からの攻めに弱いという特徴があります。
棋王・棋王戦
8大タイトルのひとつ。
1974年に創設されて、1975年にタイトル戦に格上げされています。
5連覇すれば「永世棋王」の称号がもらえます。
その他のタイトルでは通算10回のタイトル奪取で永世称号がもらえます。棋王は5連覇が条件となっています。
棋聖・棋聖戦
8大タイトルのひとつ。
1962年に創設され、タイトル戦となりました。1994年までは1年に2回開催されていました。
藤井聡太さんが初めて獲得したタイトルであり、最年少記録を更新したタイトルです。
通算5勝すれば、永世棋聖の称号がもらえます。
さ行
持将棋(じしょうぎ)
どちらかが入玉していることを条件に、お互いの合意によって引き分けにすることができる制度です。
入玉すると王将を捕まえることが非常に難しいために、このような制度があります。
ただし、盤面と持ち駒の合計点が24点未満の場合は負けになるので、持ちかけるときも合意するときも注意が必要です。
※ 各駒の点数・・・飛車・角は5点、王・玉は0点、それ以外は1点
ストップウォッチ方式
持ち時間の計算方式のひとつ。古くから使われてきた基本的な計算方法です。
特徴は1分未満は消費時間として計算されない、ということです。
59秒で差せば、時間消費は0分となります。1分で差しても、1分59秒で差しても消費時間が1分と計算されます。
こちらの記事に詳しく書いているので、ぜひチェックしてみてください。
→将棋の持ち時間とは|ルールや食事・トイレ、チェスクロック・ストップウォッチ方式の違い
速度計算
自分が相手の王将を取れるか、相手に取られるか、どっちが早いか計算することです。
特に終盤に大事になる技術です。
自分は2手で相手王将を取れる、相手は3手で王将を取れる、ということになればそのまま攻めればいいわけです。
逆に自分の王将のほうが先に取られるとなると、戦略変更が余儀なくされます。
た行
タイトル
プロ棋士が目指す大きな大会のこと。8つの大きなタイトルが特に注目されます。
その8つのタイトルはこちらです。
- 竜王
- 名人
- 棋聖
- 棋王
- 王位
- 王座
- 王将
- 叡王
この8大タイトルの中でも、竜王と名人は特に格が高いとされています。
チェスクロック方式
持ち時間の計算方法のひとつ。使った時間がそのままカウントされていきます。
30秒で差せば30秒、10分1秒で差せば10分1秒の消費時間となります。
終局時間が計算しやすいというメリットがあります。
タイトル戦ではあまり使われず、ストップウォッチ方式が採用されることが多いです。
持ち時間についてはこちらの記事に詳しく書いてみました。ぜひチェックしてみてください。
→将棋の持ち時間とは|ルールや食事・トイレ、チェスクロック・ストップウォッチ方式の違い
詰み
必ず王将を取られる、もしくは取れる状況。
王手は逃げたり、王手をかけている駒を取ることで防ぐこともできます。ですが、詰みは逃れようがありません。
超強力な王手、ということです。
詰めろ
対処しなければ「詰み」になってしまう状況のこと。
次の手番で詰みになるので、何か対処をする必要があります。
相手に詰みをかけるか、王将を逃げるか、駒を置いたり移動したりして防ぐか。
何かしら対処をしないと負けてしまいます。
な行
入玉(にゅうぎょく)
王将(または玉将)が相手陣の三段目に進むこと。入王(いりおう)と言われることもあります。
入玉すると捕まえるのがとても難しくなるので、入玉時の特別なルールがあります。
持将棋や入玉宣言法です。
入玉宣言法
入玉した側が宣言することで、勝ち負けをはっきりさせる制度です。
条件が複雑で難しいため、めったに見ることはできません。
2022年10月現在、2022年7月18日の野原未蘭さんと竹部さゆりさんの対局だけが、公式戦で入玉宣言法が使われた例となっています。
条件
- 宣言する側が入玉している
- 宣言する側の駒が相手陣(三段目)に10枚以上ある(王将を除く)
- 宣言する側が王手されていない
- 手数が500手未満
宣言して、相手陣にある駒を点数計算します(飛車・角は5点、王将は0点、その他は1点)。
- 合計点が31点以上・・・宣言したほうが勝ち
- 24点~30点・・・持将棋で引き分け
- 23点以下、または上の条件が1つでも未達成・・・宣言したほうが負け
は行
必死・必至
どうやっても解除できない詰めろのこと。正確に差していけば、間違いなく王将を取れる状態です。
必至(必死)を解除する方法はただひとつ。相手の王将を取ることだけです。
フィッシャールール
持ち時間の計算方法のひとつ。
最初に設定されている持ち時間がほんのわずか。そこから一手差すたびに一定時間が加算されます。
例えばアベマトーナメント。フィッシャールールで行われる代表的な大会です。
アベマトーナメントでは最初の持ち時間が5分。一手差すごとに5秒が加算されます。
短時間で決着しますし、観ている方もドキドキ感がたまりません。
振り駒
先手と後手を決める方法のひとつ。
歩を5枚取り、サイコロを転がすように転がします。
歩の方が多ければ上座の棋士が先手、と金が多ければ下座の棋士が先手となります。
駒が立った場合は、その駒がなかったものとして残り駒でカウントします。
歩とと金が同数だった場合は、やり直します。
振り飛車
序盤から飛車を左に動かして攻める戦い方です。
一気に左の方まで動かす棋士や真ん中あたりで留める棋士がいます。
振り飛車をする棋士を「振り飛車党」と呼びます。
ま行
名人・名人戦
8大タイトルのひとつ。
8つのタイトルの中でも、竜王と並んで最も格式が高いタイトルと言われます。
1935年に創設された、最も歴史のあるタイトルでもあります。
5回タイトルを獲得または防衛すると、永世名人の称号が与えられます。
持ち時間
それぞれの棋士に与えられた考える時間です。各対局でそれぞれ設定されています。
持ち時間のカウント方法には3種類あります。
- ストップウォッチ方式
- チェスクロック方式
- フィッシャールール
それぞれの違いについて、こちらの記事にまとめました。ぜひチェックしてみてください。
→将棋の持ち時間とは|ルールや食事・トイレ、チェスクロック・ストップウォッチ方式の違い
ら行
竜王・竜王戦
8大タイトルのひとつ。
名人と並んで、8つの中でも最上位のタイトルとされています。
1950年に九段戦として創設され、その後、1987年にタイトル戦に格上げされました。
名人戦に次いで、歴史があります。
通算7回のタイトル奪取・防衛、または5連覇で「永世竜王」の称号が与えられます。